ノロウイルスの歴史
ノロウイルスは1968年に米国のオハイオ州にあるノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれるようになったのが始まりで、1972年に電子顕微鏡下でその形態が明らかにされ、このウイルスがウイルスの中でも小さく、球形をしていたことから「小型球形ウイル ス」の一種と考えられました。 その後、非細菌性急性胃腸炎の患者からノーウォークウイルスに似た小型球形ウイルスが次々と発見されたため、一時的にノー ウォークウイルスあるいはノーウォーク様ウイルス、あるいはこれらを総称して「小型球形ウイルス」と呼称していました。 ウイルスの遺伝子が詳しく調べられると、非細菌性急性胃腸炎をおこす「小型球形ウイルス」には2種類あり、そのほとんどは、いままでノーウォーク様ウイ ルスと呼ばれていたウイルスであることが判明し、2002年8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。 また、もうひとつ は「サポウイルス」と呼ぶことになりました。
ノロウイルスが感染しやすい理由
ノロウイルスが感染すると
ウイルスとは簡単に言うと、急性胃腸炎の原因となるウイルスのひとつです。
毎年11月~1月に流行し、集団食中毒の原因ともなり、非常に感染・発症力の強いウイルスです。
ノロウイルスは体内に感染し・発病してしまうと「腹痛・頭痛・発熱・悪寒・筋痛・咽頭痛・倦怠感を引き起こすと言われています。
【理由1】ノロウイルスは非常に小さいウイルス
ノロウイルスは1mmの35~40万分の1程度の大きさで、通常の細菌と比べても1/30~1/100と非常に小さく軽いウイルスです。
この非常に小さいノロウイルスは、手や指に付着すると、指紋や爪の間に入り込み通常の手洗いでは簡単に落とすことができません。
【理由2】ふん便やおう吐物の中は大量のウイルスの粒子でいっぱい
ノロウイルスに感染してしまうと、体内で増殖し数十個のウイルスが1グラムあたり数億のウイルスまで増殖してしまします。
また、感染はしているが発症はしてない感染者については、発症している人に比べ比較的少ないと言われていますが、症状によっては発症者と同等程度のウイルス粒子を排出する恐れがあるといわれています。
【理由3】ノロウイルスは少量のウイルスでも発症
ノロウイルスは非常に発症力の高いウイルスです。
とても微小サイズであるノロウイルスは、口に入ると10~100個程度のウイルスで感染すると言われています。
前の項目で述べたとおり感染すると体内で爆発的に増殖をするため、食品等に付着すると集団小中毒などの危険性があります。
【理由4】ノロウイルスはアルコールに強い
ノロウイルスはアルコールに対して非常に強く、効果があまり発揮ができないのが現状です。
アルコールでは、効果が低いのは、ウイルスの構造により大きく左右します。
インフルエンザなどの通常のウイルスには「脂質を含んだタンパク質の膜」で覆われています。この膜をエンベロープと呼び、この膜を壊すことにで消毒や不活性化(殺菌の様な効果)を行います。
しかしノロウイルスは、単純なウイルス構造をしているためにエンベロープと呼ばれる膜を持っていません。
そのため、ノロウイルスにはアルコールが効かないと言われる理由です!
【理由5】知らないうちに感染源となっている「不顕性感染」
ノロウイルスに感染してしまっても、症状が出ない場合があります。
これを「不顕性感染(フケンセイ カンセン)」と呼ばれています。
目立った症状が出ない感染の場合、感染している自覚がなくノロウイルスは体内で爆発的に増殖され、糞便中に排出されています。
トイレの使用時にウイルスが拡散され、気が付かないうちに「不顕性感染者」が感染源となっている場合は少なくありません。
【理由6】ノロウイルスは環境中でも生存性がとても強い
ノロウイルスは「菌」と異なり食品や生活環境の中で増殖することはできず、生物の体内の中でしか増殖できません。
しかし、乾燥した状態でも、4℃では8週間程度、20℃で3~4週間生存する言われ、手や指、又は食品、ドアの取っ手などを介し口などから体内に侵入し二次感染を引き起こしやすくなってしまいます。
【理由7】ノロウイルスは種類が多く、流行型が変化!
ノロウイルスの流行はヒトの免疫によって流行が変化し続けるウイルスです。
ノロウイルスは多くの遺伝子型が存在し、ヒトの免疫がが強くなり流行が起こりづらくなってくると、別の遺伝子型が流行を引き起こします。
2015年~2016年は「G2.17 Kawasaki 2014」という異変種が流行のシーズンとなります。
違う遺伝子型に流行が入れ替わると、体内に免疫ができていない為、非常に感染力・発症力や感染時の症状が非常に強くなります。
今シーズンは、感染しないための予防が特に必要と言えるでしょう。